なぜ、今、リージョナルデザインなのか?

 玉田俊郎(JDMA代表理事)
 

なぜ、今、リージョナルデザインなのか?このリージョンという言葉は単に言葉のみの地域という意味合いではありません。例えば、フランスでは日本で言えば県が4つぐらい集まった地域文化圏、地域経済圏を示す言葉です。大都市パリも1つのリージョンに含まれます。中央集権型の日本の感覚では大都市と地域社会は明確に分けられ、大都市は消費地、地域社会は生産地と称されます。この捉え方はとても短絡的と言えるでしょう。産業区分や経済規模での区分からでは地域の持つ価値やシーズを見つけることは難しいと認識しています。今日、日本は経済大国や産業国家と称されていますが、これの至ったのは前時代の地域における文化や技術の蓄積があったからと言えるでしょう。地域は日本を体に例えれば手足であり目と言えるでしょう。そしてその手足、目を使って、価値やシーズ、文化を発展させ日本の社会・文化・経済を牽引する役割を担って来ました。しかし、伝統的な地域社会は存亡の危機に立ち、文化や技術の継承が困難になってきています。リージョンという視点から地域を捉え、デザインを展開することで、地域文化や地域資源、地域的な価値を促進ていくことがリージョナルデザインの役割と考えます。

リージョナル・デザイン

本書はフランス、ブルゴーニュ、クリマを舞台にデザインワークショップを行ったことが起点となっています。「クリマ」(Climats)とはフランス語で、気候、風土という意味ですが、この言葉のついた場所だったのです。詳しく言えばクリマ共同組合が管理するワイン用葡萄畑のエリアをクリマと称しています。クリマは幾世紀もの歳月を重ねて真の意味でデザインされてきたものであることを知りました。ブランディングの根幹を創ってきたことに気づきました。

 

 
 
ブルゴーニュのクリマ(葡萄畑:左、中央)セント・コロンブ村(右)
 

リージョナルデザイン思考で活きる地域創生

村田智明
 
 
 
 
 

産業を文化として伝えるハタオリ学の実践

高須賀活良

富士山の麓にある郡内織物産地では、衰退し続ける産地の問題に対して、8年前から「ハタオリマチのハタ印」(織物産業×観光)の取り組みとして、工場のブランド化やオープンファクトリーなどの活動を行なってきました。2024年からは新たに、産業を文化として地域の人々に伝えていくプロジェクト「ハタオリ学」が始まりました。今回のトークショーでは、産地の周囲に広がる地域の活動を紹介し、地域全体でどのように産業を活性化させているかをお話しします。
 


海外から見る日本の産業、工芸、地域性の魅力と将来的な課題

浦田 薫
・Red Dot Museum 館長のVito ORAZEM(ヴィト・オラゼム)氏のThe Kouba Principle展のコメント
・メゾン&オブジェに出展した江戸東京キラリ展に関与するパリ市が協賛・支援するファッション、デザイン、工芸のインキュベーションセンターBureau副代表者 Frédéric Bouchet(フレデリック・ブシェ)氏のコメント

ドイツとフランスでデザイン組織を牽引するお二方のコメントから「日本の産業、工芸、地域性にどのような魅力を感じていらっしゃるのか」を紹介しつつ、欧州におけるリージョナルデザインの一端を考察していきます。
 
 
 
 
 

シンポジウム講演者による関連図書

会場にて販売もしております。

交流会:提供 ISSO Corporation リージョナルデザインの試み

ISSO TEA(JDMA賛助会員)
現代(いま)に届けるオーガニック日本茶をお楽しみください。
 
ISSO TEA
現代(いま)に届けるオーガニック日本茶
Contemporary organic Japanese tea
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